メフィスト賞受賞に伴いコンテンツを整理しました

拙作『図書館の魔女』がメフィスト賞を受賞し、出版の運びになります。
陰ながら応援下さっていた皆様に、御礼申し上げます。

また新たにご声援下さった方、有り難うございます。これからはこういうことが励みになっていくのだなとしみじみ感じ入りました。

無論、私のもとには編集部から事前に連絡がありましたが、公式発表として確認できたのはウェブ上 (http://shop.kodansha.jp/bc/mephisto/) での発表でした。実は12月10日現在でまだ『メフィスト 2010 vol.3』は手許にはありません。日本にいる家族からは、誌面では大変好意的な評価を受けていた旨聞いていますが、本誌を手に入れるまではどう評価されているのか戦々恐々というところです。

さて、受賞に伴いこのサイトのコンテンツを整理しました。編集部の側の意図と異なってはいけないので、まずは見切り発車的に公開していた一部コンテンツをことごとく切り捨てました。いまこのサイトはアクセスが激増していますが、それに反して内容がどんどん無くなっているという有り様です。まことに申し訳ありませんが、諸事情ご賢察ください。

それでは、なぜそもそもそんな危なげな「見切り発車的」な部分公開をしていたのかと訝しむ向きもあるかも知れませんが、それについて簡単に説明しておきます。

もともと『図書館の魔女』の構想と執筆はすでに3年を遡るもので、進捗をみない論文執筆の余技として始めたものです。その時点から、果たしてこの膨大な量(となることだけは判っていました)の小説に簡単に買い手が付くものかと、作者としてはあまり楽観はできませんでした。今回の受賞は望外の僥倖です。これは別段謙遜ではなく、自分の書いているものにどれだけの自信があるかとは別の問題です。私はこの作品が商業的な価値を持つものかどうかについて、多いに危ぶんでいました。

その一方で、如何に商業的な方向線から逸れていこうとも、私の専門である言語・文献学の知見をごっそり詰め込んだ異常な小説へと傾けていくことを、私は自分自身で止められないでいました。言葉に取り憑かれた登場人物の振る舞いは、たびたび書物の織りなす無窮の森に強引に分け入っていき、なかなか戻ってこようとはしなくなってしまいます。それはそのまま作者の暴走ぶりを表していると思えます。しかし何度も暴走しながらも、どうにか迷走はせずに一つの物語として完結させることが出来ました。

あとはこんなにも膨れ上がってしまった小説をどうやって売ったら良いのでしょうか。私とても折角書いたものを「書いたという満足」だけで終わらせる気持ちはありませんでした。そんなわけでウェブサイトを立ち上げて、公開し、世人の評価に塗れ、あわよくば面白いと思ってもらえる編集氏の一人でも捕まればいいが、とそんな気持ちで、いつでもウェブ上に公開できる態勢を調えていたのです。講談社編集部からの色よい返事が貰えなければ、即座にウェブ公開で営業活動だ! という感じでした。epub 版の原稿まで用意していました。

ちなみに私はこの段階ですでに「小説家」を自称していました。勇み足と笑わば笑え、本気の証しと思って頂ければ幸いです。

かような訳で、編集部からの受賞の打診、さらには確認のご連絡を頂いた段階で、すでに私は「振られた」時に備えて即時全文公開から自分で電子出版という準備を調えて待っていたのです。このサイトはそのための橋頭堡として使う予定でした。

いまや事情は変わりました。自作のブログやサイトで情報を小出しにしていく意味はありません。刊行に向けて急ぎの実作業が待っている所です。出来るだけ早く皆さんの御手元に拙著をお届けできるよう、そちらに努力を傾注していく所存です。

幸い編集部からの一定の評価は得られましたが(さもなくば受賞すまい道理です)、これから読者の審判を待たねばなりません。上でも触れたように『図書館の魔女』は、いささか尋常を欠く物語となりました。万人の好評を得られるか、はなはだ不安です。ですが決して少なくない読者に「これは自分だけのために書かれたお話だ、私のための物語だ」と、そう思ってもらえるような小説になったと自負しています。

一日も早く『図書館の魔女』を書物の形でお渡しできるように努めます。この「書物をめぐる物語」が、実際に書物となるという巡り合わせに、誰よりも作者が身の引き締まる思いでいます。

高田大介 拝

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