「S」さんとは誰か? 座談会抜粋はどこにあるのか?

先日にアップしたエントリ「東えりかさんがビブリオバトルで優勝した件」について追記します。

東えりかさんと、その後に玉影ほのみえる「S」さん(ですよね)の御厚情に感謝いたしまして、篤く御礼申し上げます。

と、申し述べたのですが、この「S」さんというのはその方のイニシアルではありません。ご本人のイニシアルとしては「T」さんとすべきでしょう。東さんをして「一度も小説を褒めたところをみたことがない」といわしめた人物で、すでに講談社を退職なさった、名うてのベテラン編集氏でした。

「S」というのはメフィスト本誌に恒例の「巻末座談会」、メフィスト賞選考会のドキュメントにおける氏の通称でした。「S」氏はメフィスト賞の投稿者の間でも尊敬を集めていたと思しい、厳しい評言に有名だった方、人に言うこの「辛口のS」氏が『図書館の 魔女』を取り上げて選考にかけて下さったという経緯があったのです。この模様はメフィスト2010年 vol.3 の巻末に全文が収録されている……のですが、実は同座談会の抜粋を瞥見できる場所がもう一つあります。

興味をお持ちになった方は最寄り図書館のメフィスト本誌バックナンバーに全文をご参照頂きたいのですが、ここでは上に触れた「もう一つ」の場所をご紹介しましょう。

それはウェブ・メフィストの『図書館の魔女』特集頁です。

既に閲覧なさっており、「えっ、そんなのあったっけ?」と訝しんでいらっしゃる向きもおられるでしょう。

実際上記頁をご覧になったかたも多かろうと思います、そしてどこに問題の座談会の応答抜粋があるのか、見つからなかった方が殆どでしょう。普通は見つからないと思います

ほかのメフィスト賞受賞作の特集頁には大抵あるものなのですが…… どうしてないんでしょう? というか、どこにあるのか?

——この特集頁の「ソース・コード」を覗いて見ますと、最後のところに何故か「コメント・アウトされたかたち」で、座談会の模様の抜粋がたしかに記録されているのです……

これ、私以外に見つけた人はいるのでしょうか?

なんで私がこれを発見したかというと——

ウェブ・メフィストのメフィスト賞受賞作特集頁はいずれも、それぞれに意匠を凝らしたものですが、データ構造には一定の配列順序があるように見えます。

つまりデザインワークはそれぞれでも、コーディングにテンプレートがあるように見えるのです。それでは何故に『図書館の魔女』の特集頁では「あると想定されるテンプレート」が踏襲されていないのでしょう。これは奇なることです。テクスト要素の配列規則にはそれ以外に異同が見られない以上、『図書館の魔女』のためだけに新たなフォーマットを用意する意味はないはずです。

おそらくテンプレートは存在し、各特集頁のレイアウト、デザインワークスはスタイルシート上の調整だけで仕上げてあるのではないか。しからばデータ構造上、テンプレートの「座談会抜粋」(同時期に公開された他のページには大抵あるわけで)のパートについても、少なくともプレイスホルダー的な「箱」の準備があったはずだ、私ならそうしておく……

と考えまして、さくっとソース・コードを覗きましたら、やっぱりありました。しかもプレイス・ホルダーどころか……空き箱どころか、中身が入っていました。

著者インタビューが長くなったので、ページの縦の長さに配慮して、公開版に反映しないようにコメント・アウトしたのでしょうか、それとも別の事情があったのか? それは判りません。しかしどうしたことでしょう。

このコメント・アウト情報はHTMLの仕様上は「公開情報」ということになると思います。しかしただページを閲覧しただけでは、その存在には誰も気が付かない。

書かれているのに、誰の目にも見えない……

このほどの手掛かりは、ある一文字の不在、そしてある一画の不在であった。蓋し、図書館の魔女にとっては、そこに無い文字、そこに無い言葉すらが、何よりも雄弁に一つの物語を紡ぎ出すことになる。存在した言葉ばかりには限らない、存在しなかった言葉すらも、図書館の魔女にとっては読む対象と成りうるのだ。

……とか言ってみたり。

 

 

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